隣地との境界問題をどうしたらいいのか


空き家が古ければ、その隣地との間に、隣地との境界問題が生じている可能性もあります。
大したことないからと見て見ぬふりをしていたら、後の世代に問題が出てくることがあります。
また、普通に居住して使い続けているという段階では問題にならないのですが、いざ相続をしたり、空き家や土地を売却するとなったときに、境界問題が深刻化する場合があります。
そうなると、いざ売却したいというときに、困ったことになります。
何しろ、弱い立場になるのは、土地建物を売りたい人の側になります。
そうなると、人間関係次第で、「うちは今さらコストかけて境界線はっきりさせたくない」等ということで協議を断られたり、「コストはすべて、土地建物売りたいあなた持ちでやってくれ」などと言われたりします。
どのように解決に持っていくことができるでしょうか?

隣地と境界問題が生じる過程

そもそもなぜ境界問題が生じるのでしょうか?
例えば、先代の時に倉庫などの建物を作って、地型の関係で、わずかに隣地をまたぐが、お互いにまあええかということで今まで来てしまった、等です。
都会のような地価の高い所と、地方の田舎のような地価の低い所では、同じ面積でも財産価値が天地ほど異なります。
それで、多少の面積の違いなら、ここは田舎で地価も安いからまあええかということで、現在まで来てしまう、ということがあります。
その後の世代になって、空き家になったので、その土地建物を売るという段階で問題になったりする、ということがあります。

境界問題による弊害

大都市では、土地1㎡だけでも、かなりの価格になります。
そして、路線価も固定資産税評価額も、大きく変わってきます。
それで、問題が大変シビアになっていきます。
一方、地方の田舎の土地なら、そもそも実測もできていないので、登記事項証明書に記載の通りの面積で、それだけ分の固定資産税を払っていれば良いのです。
大した金額の差は出てきません。
実測の方が費用が掛かりますし、それもあって境界が分かりにくくなっています。
それで、今は境界がわからなくても別に不便はないし、わざわざ費用かけて、測量とか登記とかしなくてもいい、という考えになってしまいます。
しかし、境界がわからないと、家を貸せても売りにくい、という弊害が出てきます。
田舎の古民家が売りにくいという問題は、こういう土地の所有における諸問題について、都市部と田舎では常識が乖離しているためではないか、と思われます。
そういった隣地境界問題を抱えた空き家物件、田舎の古民家などですと、周辺売買事例と比較して20%-30%程度の値段にしかなりません。
例えば、普通1000万円の地域なら、200-300万円ということになります。
100万円が相場なら、20-30万円ということになり、もうほぼタダでもしょうがない、ということになりかねません。
北海道の過疎地などでは、それこそマイナス価格で、つまりお金をいくらか付けて家をあげた、という事例もあります。
それで、空き家を売るという段階には、コストをかけてでも境界問題の解決をしないといけない、ということになります。

境界問題が起きたらどうするか

境界問題は、現所有者同士の話し合いでしか解決しません。
そして問題解決がなされなければ、空き家をまともな値段で売ることはできません。
また、境界線の測量には費用がかかりますが、持ちかけた相手方が、いまさらお金は出したくないなどと言われることもあり、隣地の話し合いは困難な交渉になることが予想されます。
こういったお金の問題が解決すれば、測量を依頼した上で、正確な境界線をお互い把握して、もし境界をまたぐ建屋があった場合にどうするか(解体するかそのままにするか)を決めるということになります。
しかし、こういった境界をまたぐ建屋などの解体費用も高額になるので、話をしていくうちにさらにもめて裁判になる、ということもあります。
でも、裁判だ、ということで法律家が出ていくと、隣人関係がさらに崩壊してしまう、話し合いですむものでも解決しなくなる、という場合もあります。
それでも、正確な土地の境界を定めることそのものは、デメリットがないため、まずは双方費用を出し合って、測量を依頼することが正しいといえるでしょう。

地籍調査とは

隣地との境界を決める基本は、隣人間の取り決めですが、市町村も関与しています。
1956年から、国策として地籍調査が進められています。
現在、全国土の50%が実測を負えているようです。
全部終えるまでは、単純計算であと60年かかりそうです。
この事業では、国、県、役場の負担で実測を行い、所有者は境界立ち合いに協力するだけで、地積変更登記や地図の備え付けまで、全部公費で賄われるというものです。
しかし、下手するとあと60年近く待たないといけないということがあります。
それで、まだ地籍調査が未実施の所などは、周囲の隣人と話し合いをして、この事業を施行してもらうよう嘆願したら、次年度あたりの予算に組んでもらうことも可能のなるのではないかと思います。

事前に準備をする

境界の問題を抱える空き家や不動産は、上記のような事情で地方、田舎に集中しています。
まだ地籍調査も進んでいないのも、地方ということになります。
境界の問題があると、家が売りにくいので、不動産の流動化も進みません。
そうなると、家が売れないということは、新しい住民が入ってきにくいということで、地域の活性化にも問題が出てくるということにもなります。
だいたい、境界の問題で、隣人同士いがみ合いというのは、定住するについても気持ち悪いものとなります。
やはり、境界確定は早期に解決すべき問題で、できたらトラブルになる前に準備すべきものといえるのではないでしょうか。
各都道府県の土地家屋調査士会では、ADR境界問題解決センターという機関があり、境界に関わる民事紛争の早期解決のために土地家屋調査士と弁護士が調停人として当事者間の話し合いのお手伝いをしています。

空き家を活用するにあたって、境界確定というのは重要な問題になります。
境界についてもお困りの場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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