空き家の雨漏りについて

雨漏りの原因

近畿地方では、この2018年7月に、梅雨前線による異常降雨が続きました。
特に、大阪地震の被害のあった大阪北部は、屋根の損傷のある住宅も多く、未だにブルーシートをかぶせている住宅も多くあります。
当然、雨漏り被害も拡大していると思われます。
しかし、雨漏り修理は、思っているほど簡単なことではありません。
まず、雨水の侵入箇所を特定することが、一般の人が思っている以上に困難です。
また、雨漏りの原因となるのが、瓦の割れやずれ、棟板金の経年劣化など、屋根の不具合ばかりではありません。
その他にも、窓の周りの隙間とか、外壁の割れ目(クラック)、バルコニー防水施工不良、バルコニー笠木廻り、トップライト廻りの施工不良、シーリング劣化など、いろいろな原因があります。
そういった具合で、雨漏りの原因は、大きく分けて、経年劣化と施工不良の2つに分けられますが、施工不良が原因の場合は、外から目視しただけではわからないことも多いのです。
また雨漏りと思っていたら、結露や配管の漏水だった、ということもあります。
また、これらが複合した原因であった、ということもあります。
原因がわからないまま、やみくもに工事しても、雨漏りが止まらないとか、さらに原因特定が困難になるという場合もあり得ます。

専門家による調査

よく、屋根から散水をするという散水試験をしますが、他の方法もあります。
しかし、どの方法も確実なわけではありません。
雨は思っている以上にあらゆる方向から降ってくるので、短時間の散水調査では、なかなか雨漏り発生の状況を再現できません。
最も確率の高い方法は、雨天時に実際に雨漏りしている状況下で調査を行うことですが、これも大雨、台風などの危険もあり、あまり現実的ではありません。
専門家による調査費用ですが、目安として、
目視調査が3万円ほど、散水調査が3-15万円ほど、発光液調査が10-25万円ほど、赤外線サーモグラフィー調査が20-30万円ほど、ということですが、空き家にそこまで費用がかけられるか、ということもあります。
調査でもわからず、費用をかけて、屋根の吹き替えなどを行っても、まだ雨漏りが解消しない、ということであれば、対策に無駄に高い費用がかかることにもなりかねません。

空き家の有効活用のための雨漏り確認

空き家は人が住んでいないため、雨漏りしていても、なかなか分かりません。
空き家が雨漏りしてないかと気になって、台風や異常降雨の中で、現地に向かうだけでも、危険が生じます。
台風の中、田んぼや用水路を見に行って命を落とすことがありますが、この空家バージョンにもなりかねません。
それで、雨が落ち着いたら、その空き家での雨漏りがあるかどうかを確認します。
誰もがわかる確認方法として、角質の天井や壁にしみがあるかどうか、壁紙の一部が剥がれていないかどうか、押し入れやクロゼットの中にカビが発生しているかどうか、室内に雨水で濡れている箇所がないかどうか、窓やドアを開けて部屋に入る時、かび臭さや悪臭を感じないかどうか、という方法です。
これらの点で、異常が見受けられるなら、雨漏りの可能性があります。
もちろん建築士等の専門家に見てもらうこともできますし、その場合は小屋裏や天井裏まで目視点検してもらうことができます。
それで見てもらって、雨漏りの形跡が見つかった場合は、原因と思われる場所やその補修方法も教えてもらえるので、修繕の計画や予算も立てやすくなります。
また、雨漏りを発見した際に大切なことは、雨漏りによる被害箇所や範囲をしっかり特定確認していくことです。
これをしないと、隠れた部分の腐食や劣化が進行し、建物の寿命に大きな悪影響を及ぼすことになります。

雨漏りを防ぐために

建物は、時間の経過とともに経年劣化します。
そして、人の住まない空き家は、早く劣化します。
今、雨漏りの形跡がなくても、1年後にはどうなるか分かりません。
空き家の活用が数年先であるとしても、それで放置しておくと、大切な財産であるはずの空き家の価値が著しく下がってしまいます。
そうならないためには、定期的に雨水の侵入を防止する部分の点検を先回りして行い、必要な部分のメンテナンスを適切に行うことが重要です。
具体的には、屋根葺き材のひび割れやずれ、欠損、防水層の劣化、水切り金物等不具合、外壁塗膜の劣化、外壁シーリング材や防水層の破断や欠損、建具(サッシ)や建具廻りのすき間や破損、建具廻りのシーリング材の破断などのチェックです。
定期的にチェックしていくことが必要です。
また、台風や大雨の後など、時々室内天井や壁の水染み跡の有無をチェックすることができます。
雨漏りが実際に発生してしまうと、その補修工事には大変な手間がかかります。
それで、事前に雨漏り防止対策を徹底させることが必要です。
雨漏りを放置すると、柱の腐食や、湿った柱によるシロアリの被害や、カビの発生などが生じてきますし、修繕に膨大な費用がかかります。
また、雨漏りを原因とする漏電火災の可能性もあり、ご近所に迷惑を及ぼした場合は、損害賠償が発生することもあります。

空き家の雨漏りをどうするのか、雨漏りのないようにどう維持するのか、またどのように雨漏りを直して売却や賃貸へと持っていくのかについても、状況により個別性があります。
そういった空き家の管理や整理、活用についてもお困りの場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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