空き家を有効活用するための耐震リフォームについて
耐震リフォームの手順について
空き家の耐震診断をした結果、耐震性が不十分という判断が出た場合に、耐震リフォームをすることができますし、また必要な場合が出てきます。
具体的には、耐震診断による建物全体の上部構造評点が1.0未満であれば、部分的な評点が1.0以上でも、耐震補強が必要となります。
評点1.0が、現行の耐震基準ですが、できたら理想として1.5を目指す、ということになります。
しかし、評点を上げるほど、工事費用や工事期間がかかるので、予算や工期との兼ね合いで調整をすることになります。
また、評点1.5以上なら、どんな地震でも大丈夫だとは言えません。
地震が強ければ、何らかの損傷が生じる可能性はあります。
しかし、評点が高くて、一定の耐震性があれば、たとえ建物に大きな損害を受けたとしても、入居者が安全に避難する時間を稼ぐことができます。
それで、まずは入居者の人命を第一として考え判断する、ということが必要だといえます。
こうして、目標とする評点を決定したら、それに向けた補強計画を立て、耐震診断ソフトで検証を行い、工事を実施することになります。
耐震リフォームの方法
一口に耐震リフォームといっても、住宅の内部の様々な場所が対象となります。
そこで、下記に種類別に工事内容をまとめて紹介したいと思います。
住宅基礎の補強
京町家や寺院などは、石場建てといって、石の上に柱が載っているだけで、建物と礎石とは縁が切れています。
しかし、こういう家はすっかり少なくなりました。
ほとんどの家屋は、基礎にコンクリートを使っています。
そいて、建物が古くなりますと、基礎に大きなひび割れが入っていたり、鉄筋が入ってなかったりということがあります。
ひび割れは、ひび割れ幅に応じた工法で補修をします。
また、鉄筋が入っていなければ、鉄筋コンクリート基礎を新設して一体化させたり、炭素繊維シートで補強を行います。
木材の腐朽箇所の修繕
古い家で、特に雨漏りをしていたりすると、柱などの木材が腐朽していることがあります。
それは、建物の耐震強度に大きな影響を及ぼします。
それで、腐食部の土台や柱を修繕して補強します。
また、防腐・防蟻処理を行います。
耐震金物の取り付け
今の耐震基準では、土台と柱、柱と梁、土台や梁と筋交いなどの接合部が、金物で緊結されていることが要求されています。
古い建物は、これらの接合部が釘だけで接合されているので、地震の際、大きな力を受けると、その接合部が外れて建物倒壊に至ることがあります。
それで、構造材の接合部分を、耐震金物を用いて緊結しなおすという工事を行います。
耐力壁の新設、補強
耐力壁とは、建物が受ける地震などの外力に抵抗して、建物の変形を防ぐ壁のことです。
そして、建築基準法では、必要とされる耐力壁の量が定められています。
また、現行の耐震基準では、耐力壁をバランスよく配置することが求められています。
古い家では、これらの耐力壁が不足していることがあります。
それで、主に耐力壁の新設や補強をすることになります。
既存の壁に筋交いを取り付けたり、構造用合板を貼って補強したりします。
また、不要な窓をふさいで、耐力壁に変更するということもあります。
屋根の軽量化
古い家は重い瓦屋根の場合が多く、そういった重い屋根ですと、建物の重心が高くなって、地震の際に倒壊しやすくなります。
全く同じ構造の住宅なら、屋根が軽いほうが、地震の際に有利です。
それで、屋根を軽量化する、たとえば軽量なスレート屋根や金属屋根にするリフォームは、比較的効率よく実施可能で、耐震性が向上します。
金物の緊結
建物が古くなると、木材の乾燥収縮の関係で、アンカーボルトなどのナットが緩んでいることがあります。
それで、床下や屋根裏に潜ってこれらの締め付けを行うだけでも、耐震上有効です。
耐震リフォームの費用相場
財団法人日本建築防災協会では、住宅の延べ面積と、耐震改修前後の住宅の評点差から、耐震改修工事にかかるおおよその費用を算出することができるとして、下記の計算式を提示しています。
耐震改修工事費=27,000円×(耐震改修後の評点-耐震改修前の評点)×延べ床面積(㎡)
これは目安ですが、概算費用を知るうえで、助けになると思います。
また、多くの自治体で、耐震改修工事に補助金制度を設けています。
一例として、京都市では木造住宅及び京町家等耐震改修助成事業という補助金があります。
平成30年度は、補助対象に,耐震改修設計と耐震改修工事の両方が入ること、補助対象事業費の80%の金額を補助すること、木造住宅 100万円,京町家120万円の金額が出ること、といった特徴があります。
空き家の耐震リフォームについても、様々な会社が様々なサービスを行っています。
空き家をどうやって耐震診断するか、耐震リフォームするかについてもお困りの場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。