囲繞地・袋地の空き家をどうするか

DCIM100MEDIADJI_0026.JPG

囲繞地・袋地とはどういうものか

袋地(ふくろち)とは、前面道路に接することなく、他人の土地に周囲を完全に囲まれている敷地です。
囲繞地(いにょうち)とは、袋地を取り囲む敷地のことをいいます。
この場合、この土地上の空き家等が、再建築不可かどうかという点が問題になります。
こういった土地は、多くの場合、祖父母や曾祖父母の代の遺産分割などによって起因することが多いと言われています。

相続等で上記のように土地を分筆した際、真ん中の土地は行動と接しない袋地状態となります。
昔のことで、詳細な権利状態がナアナアの時代、親族間の信頼のうちに成り立つ分筆であったために、袋地から公道への出入りの際に囲繞地を通行することについても、お互いの了解の下に行われていたという状態です。
その後、公道に面している囲繞地の所有者が、土地を他人に売却したことにより、他者の名義の土地が誕生していきました。
以前からの慣例、了解も、暗黙のうちに行われ続けるとしても、それが長続きするとは考えられません。
それで、袋地・囲繞地を相続したり、空き家があったりする場合は、課題解決のために早期に着手すべき問題となります。

囲繞地通行権とはどういうものか

いわゆる相隣関係調整の規定として、民法第210-213条に、囲繞地通行権が定められていて、私道開設の根拠法となっています。
袋地の所有者・地上権者等は、囲繞地を通行する権利を有する(210条)。
通行に必要にしてかつ囲繞地にできるだけ損害を与えない場所・方法を選ぶ(211条)。
損害につき償金を払う義務がある(212条)。
土地の一部が譲渡されたために袋地が生じた時は、分割された他の土地あるいは土地の他の部分のみ通行権が生じる(213条)。
という概要です。

この囲繞地通行権は、図のように河川や海、崖で、公道への通路が確保できない場合も含みます。
この自然発生的なケースは、この図のように、河川にそった破線の通路しか認められない可能性が大きいです。
それに対して、相続等によってもともと一筆の土地が土地分割された場合は、袋地の所有者は無償で囲繞地を通行できます。
これは、袋地を借地した借地人、また賃貸物件である場合の借家人にも、囲繞地通行権が認められます。

ただし、この図のように必要最小限の通路幅の確保となります。

通路について

袋地から囲繞地を通って公道に出る通路についてですが、上記民法の通り、最も損害の少ない経路選択になります。
通路幅は住人が通行できる程度に制限されますので、おおむね幅1mに満たない通路となります。
幅1mの通路としますと、建築基準法上の接道義務として、幅員4m以上の道路に、2m以上接しているというのが条件となりますので、再建築不可物件となります。
接道義務を考えて、通路幅2m、また居住利便性を考え、自動車通行が可能な間口3mは確保したいところですが、囲繞地の所有者がそれに同意するかどうかは、難しい問題があります。
こうなりますと、通路分の土地を購入するなどで折り合いをつけるしかないと思われます。

袋地・囲繞地にある空き家の売却について

空き家を処分するにも、そこが袋地・囲繞地の場合は、敷地利用の制限が出てきます。
接道義務を満たさない場合、再建築不可物件となります。
その場合、空き家を取り壊して新築家屋を建てる場合hができないので、その土地を活用する道がほぼ閉ざされてしまう、ということになります。
ただし、リフォームは可能なので、大規模リフォームやリノベーションを行うことにより、不動産価値を立て直し、賃貸に出すという活用方法が考えられます。
再建築不可でない物件にしようとすると、幅2m以上の通路を確保する必要があります。
具体的には、囲繞地の所有者から、通路としての土地を購入したり賃借したりという方法になります。

袋地や囲繞地の空き家を高く売るには

袋地は無道路地となるため、売却そのものも困難になります。

しかし、図のように囲繞地と共に共同売却としますと、売却できる可能性があります。
別に売却したらほとんど価値が付かないのに対し、2つの土地をまとめて利用価値が向上したら、相場以上での売却が可能になります。
他の土地も買って(地上げみたいですが)、角地の計上で売る場合は、さらに売却額を高くすることができます。
これらは一連の土地売却プロジェクトであり、それを成功させるには、日ごろから近隣の住人と良好な関係を築く必要があります。
このように、袋地や囲繞地の空き家売却には、通常の売却以上に工夫と熱意が必要になってきます。

袋地・囲繞地がどうしても売れない場合の活用方法

上記の方法を実施しても、どうしても袋地・囲繞地の空き家が売れない場合があります。
放置していると、特定空き家指定につながる恐れがあります。
それで、人気エリアで賃貸需要のある地域ですと、賃貸物件として活用する方法があります。
そうでなくても、自宅として活用することができます。

また、問題解決の1つの方法として、等価交換という方法があります。
囲繞地の土地の通路部分と、袋地の土地の一部を、交換するということです。
この方法は、不動産会社の仲介も不要ですので、仲介手数料の節約にもつながります。

袋地・囲繞地の空き家の売却や賃貸、また活用アイデアについても、様々な会社が様々なサービスを行っています。
空き家の処理、活用方法についてもお困りの場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

Follow me!