空き家に火災保険・地震保険をかけないといけないか


火災保険・地震保険をかけるには、費用がかかります。
どうしても必要なケース以外には、費用をかけたくないというのが、空き家所有者の本音ではないかと思います。
では、どういうときに、空き家に火災保険・地震保険をかける必要がでてくるのでしょうか?
また、そもそも空き家に火災保険・地震保険をかけることはできるのでしょうか?

空き家に火災保険・地震保険が掛けられない理由

住宅は365日24時間、外気にさらされていますので、建物に関するリスクはあります。
具体的には、火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災、雪災、水災、盗難、水漏れ・雨漏り、衝突、騒擾などの破壊行為が挙げられます。
火災保険・地震保険とは、掛け金を払うことによって、こういった建物の損害を填補、建物を復旧するためのものです。
確かに空き家でも、将来住む予定だとか、高値で売却できるが今は売りたくないなど、きちんと火災保険を掛けたほうがよさそうです。
しかし、保険会社は、空き家の火災保険について消極的であるため、一般住宅と比較すると保険を掛けるための条件がシビアになっていて、簡単に保険をかけられないようになっています。
損害保険会社でも、また各都道府県にある共済でも、空き家は対象外となっています。
例えば、和歌山県火災共済でも、現在人が住んでいる建物が対象とあって、空き家は対象外となっています。
和歌山県火災共済協同組合
なぜ空き家に火災保険がかけられないのか、損害保険会社や共済は明らかにしていません。
その理由として、専門家は、空き家となっていると損害を受けるリスクが高まるので、コスト的に合わないから、と見ているようです。
また、地震保険についても、火災保険に附帯する商品ですので、保険が掛けられない、ということになります。
それでは、空き家に火災保険を掛けることはできないのでしょうか?

空き家に火災保険・地震保険をかける方法

まず、空き家に火災保険・地震保険をかける1つの方法として、「住宅物件」としてかけるのではなく、「一般物件(事業用物件)」として保険を掛ける、ということになります。
一般物件とは、事務所などを指すので、対象物件に必ずしも人が住んでいないといけない、ということにはなりません。
なお、年間保険料は、事業用物件の方が高く、およそ2倍になります。
また、別の方法として、空き家の資産価値が0であるとみなされる場合です。
空家賠償責任保険というものがあり、火災等で空き家が損壊しても建屋自体の復旧は望まないものの、万が一他人に被害を加えてしまった場合のためだけの保険になります。
自動車保険で例えると、対物対人保険には入るものの、車両保険には入らない、というケースと似ています。
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損保が、そういう保険の販売をしています。
これは主に、空き家管理をしている事業者向けの商品ですが、空き家所有者自身においても加入することができます。
三井住友海上火災保険 空家賠償責任保険
また、築10年とか15年などの一戸建て住宅やマンションであっても、空き家になることがあります。
そういった資産価値がまだ認められる空き家に保険をかけて守りたい場合は、あえて空き家状態にしない方法を取ることができます。
つまり、共済などが定義する空き家は、「30日以上無人状態にすること」となっているので、保険加入などを理由とする住宅を「空き家」と定義されたくない場合、最低限月1回以上だれかが生活をしたら、その家は空き家と呼べなくなる、ということです。
ただし、生活実態が伴う必要があり、生活していない、ただ泊っているような場合は、最悪詐欺行為とみなされなくもないので、注意が必要です。
または、無償又は有償で誰かに住んでもらうということができますが、その場合でも、住宅の賃貸借でもよいですが、民泊にする方法もあります。
ただし民泊でも、住宅宿泊事業法または特区民泊による届け出を行う必要はあります。
その上で、Airbnbのようなサイトにリスティングを登録して、宿泊を月1日でも行えば、住んでいるということにはなります。
その場合でも、保険会社の営業担当に、空き家の管理実態を正直に話したうえで、火災保険・地震保険に入れるかどうか、判定してもらうということになります。

空き家の放火についての損害賠償責任

空き家を放置していて、放火にあうという可能性もあります。
民法709条では、軽過失といって、自分に過失があって他人に迷惑をかけた場合、その落ち度が小さくても、一定の損害賠償をしないといけないということになっています。
しかし例外的に、火事については、失火責任法により、重過失がない限り、損害賠償責任は問われません。
放火事件という大きい事件について、空き家所有者が空き家のまま放置していたということは軽過失という扱いになります。
したがって、空き家所有者は損害賠償責任は問われない、ということになります。

空き家の火災保険・地震保険をどうするか、また空き家により損害を与えた場合どうするか、頭の痛い問題になりえることがあります。
火災保険・地震保険についてもお困りの場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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