空き家を有効活用するための耐震診断と補助金について

空き家の所有者には、耐震性についてどういう責任があるか

空き家は、ほとんどが建てられてから年数がたっています。
それで、建物が古いので、耐震強度が不安だというケースが多くあります。
また、近年は地震も多発しており、いつ震災があるかも分かりません。
さて、もし空き家が倒壊して、他の人に損害が出たら、他の人に対する所有者責任はどうなるのでしょうか?
民法第717条には、このような条文があります。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」
ここで、建物の瑕疵というのは、ここでいう建物の耐震性が不足している場合になります。
そして、工作物の占有者とありますが、ここでいう物件の所有者ということになります。
それで、建物の耐震性が不足しているために、他人に損害が生じた場合は、占有者である建物所有者は、その責任を逃れることができない、ということになります。
また、地震による被害で、工作物責任が問われるかどうかですが、建築基準法などの法令違反の建物の場合、責任を問われる可能性が高くなります。
それで、空き家についても、きちんとした耐震診断を受け、必要な耐震補強工事を行う必要性がある、ということになります。

耐震診断について

耐震診断とは、建築士などの専門家が、実際に建物の劣化度や構造、仕様などを現地に行って調査し、図面と見比べ、耐震ソフトに必要項目を入力して、建物の耐震性を診断するということです。
その耐震診断に基づいて、適切な補強計画、耐震リフォームを行うことができます。
耐震診断には、一般診断と精密診断法があります。
最初に一般診断を行います。
耐震診断の結果は、上部構造評点という評価点で判定され、上部構造評点1.0以上で、震度6弱から震度7の地震で「一応倒壊しない」という目安としています。
耐震診断の一般診断では、原則として建物の壁や床をはがしたりせずに、非破壊でも目視による調査を行います。
それで、診断に必要なすべての項目を確認するのは非常に困難で、一部診断者の経験や築年数、図面などから推測して判断することが多いということです。
そのため、経験豊富で信頼できる相手に依頼することが大切になります。

京都市の耐震診断について

京都市では、市が派遣した耐震診断士が、現地調査をもとに、耐震性能の検討・評価を行っています。
現地調査では、目で見える範囲の調査及び聞き取り調査を行っています。
この時、外観だけでなく、住宅(すべての部屋)の中に入って、調査・写真撮影を行いますので、立ち合いが必要となります。
現地調査は、木造住宅で通常2-3時間程度、京町家で通常1日程度はかかるということです。
そして、その結果、木造住宅(昭和56年5月31日以前に着工されたもの)で約1か月後、(昭和25年11月22日以前に着工されたもの)で約2か月後に、耐震診断士が「診断結果」の説明に伺う、という段取りとなっています。

耐震診断費用と補助金について

耐震診断費用ですが、30坪程度の木造2階建住宅で10万円から15万円くらいが多いようです。
ただ、安ければいいというものでもありませんので、調査項目や診断実績などをよく比較して、信頼できる業者に依頼するということになります。
また、耐震診断については、各自治体に、補助金や助成院の制度があります。
一例として、木造老朽町家の多い京都市では、木造住宅及び京町家耐震診断士派遣事業として、通常木造住宅では2,000円、京町家では5,000円を実費相当分として支払い、あとは補助としていますが、平成30年度は無料となっています。
また、2万円の負担で、耐震診断に引き続き、派遣された耐震診断士が基本計画を作成しています。
その他、各自治体で、耐震診断の補助金や、耐震リフォームの補助金についての制度を定めています。
それで、各自、空き家のある各自治体に問い合わせをしてみることができます。
次回は具体的な耐震リフォームについて、

空き家の耐震診断についても、弊社をはじめ、様々な会社が様々なサービスを行っています。
空き家をどうやって耐震診断するか、耐震リフォームするかについてもお困りの場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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