既存不適格の空き家をどうすればよいか

既存不適格について

住宅などの建物を建てるには、建築基準法や都市計画法といった法令を守る必要があります。
そして、その法律や政令は、時と共に変化します。
耐震基準も、度々の震災被害に対処するための改正などで、これまでに変化してきました。
特に、1978年の宮城沖地震を受け、1981年に建築基準法の改正が行われ、耐震基準が強化されています。
それで古い建物は、建築当時の基準で適法であっても、その後の法の変遷により、不適法になっていることも多くあります。
そのため、まだ使えるように見えても、住宅や旅館や病院が取り壊されるということがあります。
そういう不適格になった物件のことを、既存不適格物件といいます。
今回は、所有の空き家不動産が既存不適格となり、再建築不可となった場合の対処法を記します。

接道義務について

昭和25年に、建築基準法が制定されました。
建築基準法では、幅員4m以上の道路に、敷地が2m以上接しているという接道義務があります。
ただ、現在でも幅員4m未満の道路が至る所に存在します。
それで、建築基準法第42条第2条において、2項道路という規定がありますが、これは法令の制定時に現に存在し、道路として使用されている道を、行政庁の指定で法律上の道路とみなすという規定です。
その場合は、更地にして新たに新築することができるが、そのタイミングでセットバックをする、つまり建物を後退させて建築して、道路幅を拡張するという条件が付きます。

既存不適格と違法建築について

既存不適格とは、法の変遷により、新築後に不適格となった建物です。
そしてそれは、法の不遡及によって、取締の対象とはなりません。
それに対して。違法建築という言葉があります。
この違法建築は建物の建築着工時において、法令や条例に違反している建築物であり、これは取締の対象となります。
新築建物の建築時に建築確認申請を行うのですが、その際に行われる建築完了検査で特に問題がなければ、建築検査済証が交付されます。
この建築検査済証は、建築当時は違法建築ではなかった、という重要な証拠となります。

その空き家は、既存不適格物件か、違法建築か

例えば、接道義務を満たしていない空き家が、違法建築かどうか、ということが問題になることがあります。
その場合、建築検査証明証によって、既存不適格物件の適法性を合理的に証明するものとなります。
しかし、新築後増築をする場合があり、増築によって既存不適格または違反建築になる場合もあります。
増改築リフォームで新たに建築検査証明証が発行されるわけでもないので、結局は図面や写真を残しておくということが必要になります。
そういった建築検査証明書や図面、写真等がない場合、違法建築とみなされる可能性が大きくなります。

既存不適格の空き家を売る場合

空き家が既存不適格となる原因は、接道義務の他、建蔽率と容積率、高さ制限、準防火地域、耐震基準などが挙げられます。
そういった既存不適格の空き家を売る場合は、ほとんどが不動産仲介業者を通すことになりますが、その時に、重要事項の説明を行うことになっており、買主に既存不適格であることを告げることになります。
重要事項説明の際に既存不適格であると聞くと、買主の心証が悪くなるだけでなく、金融機関からの融資が難しくなる場合もあり、融資が実行されないか査定金額が低くなることがあります。
そういう事情があり、既存不適格の家は売りにくい家、ということになってしまいます。
それで、既存不適格や再建築不可物件を取り扱うのを得意とする不動産仲介業者を見つけ出すことが必要になってきます。
不動産一括査定サイトもあり、まとめて査定してもらうこともでき、その中からこういった物件を取り扱える業者を探す、という方法になります。
また、売りやすくするためにリフォームやリノベーションを行ったり、先に空き家の解体を行って更地として販売したりすることもできます。

どうしても空き家が売れない場合

上記手段で空き家が売れない場合、相続人等がその家を利用するのが筋ですが、居住地、勤務地が離れているなどで、それができない場合も多くあります。
その場合は、賃貸等別の活用方法となります。
たとえ既存不適格や違法建築であっても、利便性が高い立地の場合は、賃貸として活用することが可能です。
賃貸することによって、少なくとも固定資産税を回収することは可能となります。
賃貸物件サブリース会社に相談してみることもできますが、数年後に見直しということで、契約を一方的に切られてしまう場合もあるので、注意が必要です。
また、各自治体が運営する空き家バンクに登録するのも、1つの方法です。

空き家の売却や賃貸、また活用アイデアについても、様々な会社が様々なサービスを行っています。
空き家の処理、活用方法についてもお困りの場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。

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