山林の活用について
いきなり山林を相続する場合があります。
相続があって初めて、相続財産に山林があることに気が付く場合も多くあります。
その場合でも、山林だけ相続放棄することもできないため、仕方なく相続することも多いようです。
現在の山林を取り巻く状況は、良くありません。
どうやって山林を活用することができるでしょうか?
立木を資源とみる場合
山林にある立木を処分して利益を得るという方法はあります。
山林の流木は独立して価値を持っており、立木を処分しても土地は残ります。
しかし現在、林業専門の林家であっても、木材販売で生計を立てているケースは、全体の5%ということです。
そのため、相続で山林を相続した林業の素人が、立木で利益を出して生計を立てるというのは、まずありえないことと言えます。
よく山間部を車やバイクや自転車で走ると、明るい山林と暗い山林があることに気が付きます。
明るい山林は、下層の枝を切り払う枝打ちがなされ、不要な樹木を取り除く除伐、間伐がなされて、その結果、適度な間隔で真っすぐ伸びています。
一方、枝打ちや除伐、間伐がなされていない山林は、薄暗くなります。
薄暗い山林の原木は、本数が多くても枝が節になり、細く曲がって質が悪く、山林全体が不健康になって、価値を落とします。
それで、山林は定期的に間伐などの手間をかけないと、木材販売収入が極めて少なくなってしまいます。
さらに、森林・林業白書において、スギ人工林において、50年生での販売収入は試算87万円/haに対し、50年生までの経費は平均121万円/haとなりまして、大赤字となります。
採算を取りにくい事業であると言えます。
また、木は木材としてだけでなく、燃料としての役割があり、薪ストーブ以外にも、薪や炭をアウトドアの時の火力にしたり、窯業でも窯に火をくべるのも薪です。
しかし、これらの用途では、原木を加工してもらわねばならず、加工費を払って販売して、果たして採算が取れるのかという問題もあります。
最近は薪ストーブは人気があるようで、ネット活用で販売コストは下がります。
しかし、木材育成の赤字+加工費をプラスにするだけの販売量を確保するのは、大規模に行わないと無理そうです。
ただし、相続した山林で薪や炭にするのは、すでにある立木を使うということで、育成コストがなく、木材にならない立木の用途としては有効かもしれません。
自然としてとらえる場合
山林の動植物や景観、環境を目的として、他者に訪れてもらったり、生産物を商品にしたりという活用もあります。
林業による生産額の半分は、木材以外の林産物が占めています。
木材以外の林産物の中で、8割を占めるのが、きのこ類です。
その他にも、山菜やタケノコなどの林産物があります。
また、果物や木の実類、きれいな沢があればわさびやクレソンがあり、昆虫でもカブトムシやクワガタも子供たちに人気です。
いずれにしても、何らかの収穫物が得られるような環境が必要となります。
さて、他の人の山に入って、きのこや山菜を取るのは、山林の所有者の許可がなければ、厳密には他人の所有物を無断で採集している窃盗行為になります。
しかし、一般的にこれらの行為は、個人で楽しむレベルでは許容・黙認されており、趣味として市民権を得ています。
ただ、山林の所有者から許可を得て、気兼ねなく取りたいと思っている人もいます。
それで、体験ツアーを企画して、ガイドを同行させて、それらの行為を行ってもらうということができます。
周辺に大都市等があると、それなりに企画もされているようです。
レクレーション用地として
地域住民などの来訪者が山林に来て、リラックスして楽しめる場として使ってもらうことができます。
これは、地元の自治体など、公益性の高い組織(学校や自治会・町内会を含む)を対象とします。
公益性の高い組織は、基本的に無償で解放または使用するため、収益を上げる方法としては適しませんが、地域貢献にはなります。
加えて、簡易な管理をしてもらえる可能性もあります。
利益を出すなら、キャンプ場やアスレチック施設を設置したり、コテージ設置などで、利用料を得るという方法があります。
さらに、日本全国に、「森林ボランティア」と呼ばれるNPO法人や市民団体があります。
この森林ボランティアは、自主的に森林整備を行い、健康な森林づくりを目指すグループです。
そして、地域の森林を活動拠点にしています。
森林ボランティアの多くは、国土緑化推進機構という社団法人に登録されています。
国土緑化推進機構
ボランティア活動ですので、採算はとれませんが、活動拠点に提供して山林を見てもらうのも1つの方法といえます。
山林の管理や活用について、どうしたらよいのかわからない場合は、弊社または当職においても相談を受け付けております。
またお気軽にお問い合わせください。